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石鎚山



【概要】


T所在地  愛媛県  
U訪問日時  平成21年【2009年】5月28日( 木曜日 )
V天候 曇り、山頂付近は濃霧、雨と強風 
W標高 石鎚山   [1,982.0m] 
 X登下山コースと所要時間 西ノ川登山口(06:18)→3.7q→(08:51)成就分岐(08:52)→0.4q → (09:02)石鎚神社成就社(09:08)→ ≒3.3q →(12:04)頂上山荘(12:57)→≒0.3q → (13:32)天狗岩(13:33)→4.7q →(15:47)石鎚登山ロープウェイ山頂成就駅
 * 上記ルート図
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒1,550.0m
 《2》日程〜日帰り[前夜泊;西ノ川登山口駐車場]
 《3》同行者〜単独


【詳細】


 昨夕、ロープウェイ下谷駅を通り過ぎ、谷あいにある下ノ川登山口に着いた。熊本ナンバーの車が一台駐車していた。剣山を登ってきた帰りで明日このルートからの山入りをするとのことであった。分厚い雨雲がすぐ上を足早に流れていた。天気予報も高知沖の停滞した前線による悪天候を予報していた。夜中に雨が車を激しくたたいた。早朝目覚めてみると雨は止んでいたが相変わらず低い雨雲が流れていた。風はない。天気予報では高山の東側では猛烈な風に見舞われる、とのことだった。中止しようかどうか迷っていた。熊本の人は中止した。下は無風で雨も降っていない。そして始めて雲間から晴れ間も見えた。吉兆、と判断し、すぐに出発した。
 登山口から入ってすぐに廃屋が何軒か立ち並んでいたがすべて無人のようだった。登山道は良く管理された杉林の中を延々と続いていた。枝道みたいなものもあったが、親切な標識がリードしてくれた。それにしても「石鎚古道」とはイイ言葉だ。昔は多くの信心深い善男善女が祈願のためにこの道を歩んだのだ。下草は除草され、下枝の綺麗に刈られているものもある地域がある。山腹の木立のため土砂崩れによる倒壊を防ぐために石積みされてるところもある。関係者の植林への深い愛情を感じさせてくれた。
 成就分岐までの標高差が約930メートルくらいある。だがリュックが軽いのと昨日の休養ためか足取りは思ったほど重くない。2時間くらいで行けるだろうと思ったが30分くらいオーバーした。途中いくつかの枝分かれした道があった。どちらだろうと迷った。草が生えている方の道路は棄てた。結果的に道迷いによる後戻りもなく標識のある分岐点に飛び出すことができた。難所のひとつをクリアした思いだ。分岐手前付近のしばらく前から杉木立から普通の広葉樹林に変わっていたが、分岐からの山道の両側からは杉、ヒノキ、ブナなどの見事な古木、老木が繁茂していた。
 神社手前に何軒かの旅館、土産品店が立ち並んでいた。往時の繁栄をしのぶことができた。昔はここに宿泊しての参拝が当たり前のことだったのだろうから。それにしても神社建物(頂上にあつたのも)の立派なことはどうだろう。建築資材はヘリコプターで荷揚げされたのであろうが、そこに歴代の信者の方々の篤い想いが想像できた。と同時にこの神社が相当由緒のあることも理解できた。境内に立派な遥拝堂があり、後ろが筒抜けになっていて、天気が良ければ山頂を望むことが出来るような造りになっていた。この建物のお陰でこの神社が石鎚山そのものを神として崇めていることがわかった。境内の一隅からは瀬戸内海が眼下に見下ろすことができた。
 一息ついて山頂への道を再び歩き始めた。多少ガスめいてはいたが風はなくブナの古木、老木の混じった疎林を気持ち良く遊歩できた。夜明け峠付近で山頂を見たとき、山の上部はガスがかかっていて見えなかった。
 鎖場は体力温存を最優先して全てパスした。単独行は慎重にならざるを得ない。
 鎖場に挑戦するのであればロープウェイで上がってくるくらいの周到さが必要だろう。そしてそんなアクロバツト的な冒険をするほどすでに若くはない。
 頂上小屋の少し手前の木製階段の山道を登り始めると突如猛烈な暴風雨に攻撃された。引き返すべきかもしれないなどと弱気になったが、幸いその階段は手摺りが付いていたので吹き飛ばされないようにその手摺りをしっかりつかんで少しづつ前進してみた。すると不思議、確か2,3分くらいで無風地帯に入った。とすぐに左横を見ると立派な構築物があり、山頂小屋と知れた。出発前にラジオで聞いた、高い山の東側斜面は強風にさらされるでしょう、という天気予報を想い起こした。山頂へすぐに足を伸ばそうとしたが、山頂神社からの尾根に近づいた途端まだ暴風雨が吹き荒れていて、丁度昼時でもあったので食事と休憩のため小屋へ引き返した。もうこのときは帰途成就から西ノ川まで歩く元気はなくなっていたので、幸い小屋で昼食していたお二人にロープウェイの最終下り時刻を聞いてみたところ5時とのことだったので、ここから駅まで2時間半くらいはかかるだろうから天候の回復を2時半ごろまで待ってみようと最初は思った。そのお二人は腕章から営林署の方のようだった。そしていいろいろな話の中で山頂の天狗岩への尾根の稜線の少し下の西側に風除けの登山道があることをポスターの写真を指し示しながら教えてくれた。そして若い二人連れの一人が15分くらいで山頂に行ってきたとも話してくれた。光明が射し、2時半まで待たなくても大丈夫との感触を得た。
手荷物はデジカメだけにし、他の荷物は小屋に預かってもらって、小屋を後にした。相変わらず烈風がふきすさび、雨まじりの濃霧が視界を遮っていた。稜線の陰にある登山道と思われる踏み跡をなぞるように行くと、しばらくして進行方向左手の稜線上に小さな岩山があった。頂上には何もない。違う。さらに歩を進めると、今度は小さな、石造りの祠のある岩山があった。でも一般的に良く見る山の名と標高を記した木柱のような標識もない。ここも違う、と通りすぎた。さらに下を見れば踏み後があったのでさらに二つの岩山があった。ふたつ目のところで踏み後らしきものが見つからなかったので道迷いしては最悪と判断し引き返すことにした。ピークハントは出来なかったのはチョッピリ残念ではあるがしょうがないと納得して。そして祠のある岩山のところまで引き返して、一応念のために祠を観てゆこうと思った。丁度風がこのとき少し弱くなっていたのですぐに祠まで這い上がれた。祠のふもとを見ると何も書かれていない縦横10センチ、40センチくらいの木片があった。何の気なしに引っくり返してみた。下記のように書いてあった。

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登頂したとの確かな手応えでやはり心に満足感が広がった。
帰ってよくよく山頂周辺の地図を見てみると天狗岩のさらに先に「大砲岩」と「矢筈岩」というのがあることがわかった。
 幸運の女神に見放されてはいなかった。


【写真記録】


☆☆ 石鎚山 ☆☆


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