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苗場山



【概要】


T所在地 新潟県*長野県  
U訪問日時 平成21年【2009年】 6月27日( 土曜日 )
V天候  晴れ、微風  
W標高苗場山  [ 2,145.3m ]
 X登下山コースと所要時間町営駐車場登山口(06:10)→≒1.3→(06:33)和田小屋(06:33)→≒3.7q → (08:53)神楽ケ峰(08:53)→≒1 .7q →(10:07)山頂(11:16)→≒6.7q→(14:28)町営駐車場登山口
「参考」それぞれのポイント地点の案内標識は距離表示でなくポイント間の所要時間表示となっていたが、一箇所だけ距離表示の標識があり、それには和田小屋と山頂の間が6.5qとあった。
 * 上記ルート図
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒920.3m
 《2》日程〜 日帰り
 《3》同行者〜 単独


【詳細】


 何年か前この山では途中で引き返した。
そのためだと思うが、その屈辱感、敗北感みたいなもののためにその時の記録を残していなかったようだ。雷清水をちょっと過ぎたヤセ尾根のとっかかりのところで引き返した。その時点で疲労感が激しく、日帰りはムリと判断したためた゛。そんな記憶が残っている。

 今回も祓川コースにした。
梅雨間の好天に恵まれた。感謝。小さなザックにし、荷物はオムスビ3個、漬物、梅干、飴、200ml牛乳、180ミリリットルのペットボトル入りの水一本、地図、コンパス、花図鑑、デジカメそしてポンチョだけ。
 5、6年前にこの山の近くの、谷川連峰の西端にある平漂山と仙ノ倉山に行ったとき、苗場山の山頂は台地状に見えた。
今日雲尾根から山頂台地にたどり着き最初に目に飛び込んできた光景は、、その台地が外周がかすんで見えないほどの、無数の池糖をかかえた大平原だった。池糖が鏡のようにかすかに光を反射していた。ところどころに残雪があり、熊笹は元気なく草地はまだ枯れ茶色で、新緑はほとんどなかった。やっと今冬の幕が閉じ、これから春の仕度を始めようとしているときであるかのようであった。池糖からは何かの鳴き声が聞こえてきてはいたが、生き物の姿は何も見えなかった。ただ上空をツバメが群舞していた。
 初夏のヒメシャクナゲの群落が見事だ、とのことだったので、それを楽しみにしての今回の訪問であったが、いかんせんまだ早かった。陽射しとそよ風はもう冬のものでなく、心地良かったのだが、この山頂台地が新緑と可憐な草花に彩られるのにもう1週間から10日ほど待たなければダメなようだ。やはり2000メートル級の山なのだ。春霞のなか平漂山をはじめとする谷川連峰の山々も望見できた。行きと帰りに雲尾根とその頂から見下ろした、新緑と雪渓のお花畑沢の圧倒的な存在感は印象に強く残った。

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〈 雷清水付近からの苗場山の巨体 〉


だが山腹は春まっさかりだった。登山道脇ではいろいろな草花が装いを凝らして春の訪れを喜んでいるように見えた。今日沿道でこのときを一番待ち焦がれて咲き誇っていたのは、マイズルソウ、コイワカガミ、ミツバオウレン、ゴゼンタチバナ、タカネスミレ、チングルマ、ワタスゲ、ミヤマカラマツなどであり、すでに花弁のほとんどが落ち、あるいはしおれていたのがシラネアオイであった。ショウジョウバカマもほとんどが花期を終ろうとしていた。稀少ではあったがハクサンチドリやサンカヨウも咲いていた。下の芝の休憩所のテラス近辺ではイワイチョウがちらほら花を付け始めていた。サネスリ岩のところに一本のハクサンシャクナゲが淡い白紅色の花を2輪咲かせていたのも印象的であった。紫色のサラサドウダンツツジも始めて見た。明るく熱いくらいの陽射しの下で思い思いに咲いている花の中の道を歩くのは楽しい。時として歩いていることを忘れる。その苦痛も忘れさせてくれる。花涸れの真夏の山腹の登山道だとこうはいかないだろう。この6月末から7月中旬までの花の時期が梅雨と重なっているのが本当にうらめしいことだ。そしてこの時期はこの山の散策でなく山菜取りの人もかなりいた。笹の竹の子のネマガリダケがお目当てなのだという。焼いて味噌をつけて食べたり、味噌汁の具にもするらしい。小生も山菜採り大好き人間なのだが、自宅で竹の子がとれるためこのネマガリタケにはあまり興味が湧かなかった。

 それにしても小生の視覚のデタラメさを改めて実感した。雷清水から観る苗場山のお花畑から台地頂上まではえらい高度さがある、と感じた。実際登り始めてからの急登の手ごたえはその感を深くした。しかし帰宅してから調べてみると、わずか70メートルくらいしかない。疲労感が原因の五感の錯覚だったのだと知る。雷清水で思い出したがその湧き水の良く冷えていてなんとうまかったことか。往路復路とも思う存分おなかに流し込んだ。和田小屋下の登山道脇の清水も熱くほてっている身体にはなによりのプレゼントであった。

 今日でこの山に対して持っていたうしろめたさみたいなものをほとんど解消できたような気がする。 


【写真記録】


☆☆ 苗場山の花々  ☆☆


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