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四阿山



【概要】


T所在地 群馬県※長野県 
U訪問日時  平成21年【2009年】 7月15日 ( 水曜日 )
V天候 高曇り時々晴れ 
W標高  四阿山(あずまやさん ) [ 2 ,354m ]
 X登下山コースと所要時間 鳥居峠コース登山口(06:31)→≒1.1q→(07:08)的岩(07:10)→≒0.9q → (08:10)周回コース合流点(08:11)→≒ 1.8q →(09:36)山頂(10:01)→≒1.8q→(11:16)周回コース合流点(11:16)→≒2.2q〔(12:00)花童子(げとうじ)宮跡(12:24)〕→(12:54)鳥居峠コース登山口
 * 上記ルート図
 * 表示距離についての注記
  *案内標識では片道4.5キロとあった。
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒774.m
 《2》日程〜 日帰り[前夜泊;登山口駐車場]
 《3》同行者〜 単独


【詳細】


 平成16年11月7日にダボス牧場から根子岳、四阿山のコースで訪れたことがある。両山頂での70分の休憩を含めると約6時間弱の往復時間がかかった。峠付近の唐松の鮮やかな黄葉と快晴の下、山腹の明るく澄んだ青空をバックにした登山道脇のダケカンバ林はことのほか綺麗だった。そしてもうもうと噴煙を上げている浅間山がすぐそこにおおきく見えたのも印象に残っている。

 今回は鳥居峠コースで訪ねることにした。
的岩コースから山頂へ、そして帰路花童子宮跡コースで下山という周回コース。
 朝はそこそこの空模様で午後にかけだんだん晴れ間が広がってきたのが嬉しいことであった。
 的岩コースは樹林帯のなかのコースなのだが時々南側が展望できる場所が何箇所かあり、浅間山の雄姿をはじめとする浅間連山がすぐそこに見える。高度を上げるに従い、背後に八ヶ岳連峰が、さらに高度を上げると、さらにその背後に富士山の端正な姿がぼんやりとではあるが見えた。合流点を過ぎてからは、東側に南から北にかけて、そして手前から順次榛名山、赤城山、武尊山、白根山や男体山などの日光連山などの山並みがそれぞれそれ薄靄のなかに浮かんでいた。山頂では、北側の草津白根山や横手山が、西側には妙高や残雪が多くある火打などが見えた。北アルブスは雲に隠れていた。日ごろ仰ぎ見る存在の山を同じ高さの目線であるいは眼下に見るのはやはり独特の高揚感を与えてくれる。帰路花童子跡の東屋で昼飯を食べたのだが、その時間そこからは多くの雪渓を抱えた北アルプスの山々も良く見えた。登山道から仰ぎ見えた、新緑に覆われ、陽光に光輝いている、悠然とした、四阿山の山容は豊かで優しかった。下山後の帰途に車から降りて改めて見た四阿山はあくまでも穏やかで暖かなまなざしで下界を見下ろしているように思われた。

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山の樹林帯が好印象を残してくれるか否かの決め手は林床の姿にあるような気がする。
 ここを歩いてみて改めて実感した。視界をさえぎるような小潅木や背丈の高い笹やシノ藪は山歩きの楽しさを半減する、と。
 カラマツ林、ミズナラ林、ダケカンバ林、ツガの原生林、シラビソ林がすべて美しかった。それぞれが整然と天に向かって立ち並んでいる姿は感動的でさえあった。そしてすべての林にほとんど共通しているのが、林床がほとんど見渡す限り一面に丈の低い熊笹に覆われているか、特にツガ林などは下草がなく、薄暗がりの樹林下に沢山のシャクナゲの木だけが群生している。極論するとこんなシンプルな風景だった。のんびりと遊歩するだけで幸せの気分にしてくれる。そしてこのシャクナゲ林の見事な咲き栄えをいつか是非見てみたいと思った。今回この時期ほとんど花を見られなかったのでアズマシャクナゲなのだろうか。また、的岩コースですでに気がついていたのは、結構サラサドウダンツツジが多く目に留まったことだった。ところが下山後合流地点から花童子宮跡の登山道を下ったときにさらにビックリしたのは、地面に一面の花殻がびつしりと敷き詰められたように一杯落ちていたので見上げると、頭上はウラジロヨウラクのトンネルだった。ここまで本数が多いいと壮観だ。

 
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 この時期このコースの登山道端を飾っていてくれた主役は、その数でいえば、ミネウスユキソウとタカネシャジン、そしてニッコウキスゲであった。見事な脇役はコマクサやハクサンチドリ、ミズチドリ、ハクサンフウロなどであろうか。主役も脇役も点々と時には群れをなして初夏の訪れを喜んでいた。特に花童子宮の跡地付近はいろいろな草花が咲き乱れ、浅間山塊が目の前にひろがっているお花畑であつた。美とは無縁と思われる世捨て人の修験者達がそこに修行と祈祷の庵をむすんだのがいちもにもなく理解できた。それにしても「花童子宮」とはなんと優雅なネーミングであることか。

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コマクサにも出会えた。
本白根とはその数はくらぶべくもないがここにも咲いているのかとチョッピリ興奮した。花をつけたのが何本かと花のないのが何本かの小さなファミリーであった。この数からは昔からあったものとは到底思えなかった。何年か前にどなたかが種を蒔くかあるいはどこかのものを植え替えしてくれたものではないだろうか。もっと群生するまでみんなが暖かく見守ってほしい、と願う。いかに珍しい動植物であっても大自然のなかで生きてるものはその大自然のなかで生きてる姿を観ることこそが山を訪れる幸せなことのひとつなのだと小生は信じている。その美しさや珍しさに惚れて自宅で観賞するために持ち帰るなぞていうことは動植物の観賞の邪道ではないだろうか。
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ここでも「嬬恋清水」という岩清水があった。頂上のすぐ下だった。帰りに寄った。先日の火打山の高谷ヒュッテのところの雪解け水もそして苗場山の湧き水もそうであったようにこの世のものとも思えないくらいにおいしかった。普段の生活のなかでは水などおいしいと改めて思うことはないが山歩きの最中の清水がとびっきりうまいのはなぜなんだろう。山の神にただただ感謝。

 登山口に調査票用紙が置いてあった。登山日時、車両種別、訪問人員などの記入欄があった。鳥居峠の林道ゲートを期間開放してもらえるお陰でゲートから現在の臨時登山口の約2.6キロの道のりを歩かずに済むことができる。ただ当然トイレや東屋そして登山道の整備にお金がかかる。こういうご時世だからどこの機関も財政事情は厳しい。だから利用人員が少なければ期間開放の措置の中止をするための検討資料なのではないかと危惧した。この時期のこの登山コースはすべてにおいてお世辞抜きで素晴らしい。神話、伝説、史跡そして山林や山野草の花々が盛り沢山だ。是非今後とも期間開放を続けてほしいものだ。

【写真記録】


☆☆ 林と草花  ☆☆


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