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火打山



【概要】


T所在地  新潟県
U訪問日時 平成21年【2009年】 7月 6日 ( 月曜日 ) 
V天候 曇り時々雨、微風 
W標高 火打山  [ 2,461.8m]
 X登下山コースと所要時間 笹ヶ峰登山口 (06:07)→≒3.7q → (08:35)富士見平(08:38)→≒1 .6q →(09:39)高谷池ヒュッテ(10:05)→≒0.8q→(10:31)天狗の庭(10:31)→≒1.9q→(11:54)山頂(12:07)→≒2.7q→(13:55)高谷池ヒュッテ(14:03)→≒5.3q→(16:44)笹ヶ峰登山口
 * 上記ルート図
 * 表示距離についての注記
 *  標識距離……片道9q
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒1,141.8m
 《2》日程〜日帰り[前夜泊;道の駅「しなの」]
 《3》同行者〜単独


【詳細】


 高谷池ヒュッテさんのホームページを以前から何度か覗いていた。ハクサンコザクラと紅葉の写真がことのほか魅力的であった。そして10日くらい前から天狗の庭で水芭蕉とハクサンコザクラが咲き始めたとの情報。八ヶ岳とセットで今回訪ねることにした。
 昨日横岳硫黄岳の下山後縄文の湯で汗を流した後諏訪ICから信濃ICへ直行した。予定通りに信濃IC近くの道の駅「しなの」で車中泊した。着いてすぐに雨が降ったが、夜中にトイレに起きてみると満月が中天にこうこうと輝いていた。天候が不安定なのだ。朝4時ごろ目覚め、登山口に向かった。笹ヶ峰の登山口の近くに大きな駐車場があり、水場もあったので切り餅5切れを焼いて海苔巻きにし、沸かした牛乳を飲んで腹ごしらえをきちんとした。昨日の朝は適当にすませてしまったため早くから疲労感を感じてしまった反省からだった。

 登山口は洒落た屋根付きの寺社門風の構築物だった。登山届には、日帰りで山頂からは3時半には下山できるだろうとの安易な憶測から、そのように記入した。結果的にそんな安直なコースでないことを後で思い知ったのだが。
 ヒュッテに着くまでは雨が降ったり止んだりのあいにくの天候ではあった。そこで今日は雨対策で考えていたことの実験をした。レインウェアーはコロンビアのオムニテツク素材のものだ。出発前に洗濯し溌水液をたっぷりスプレーしておいた。これまでいつもウェアーの内側がビショビショに濡れて不快この上もなかったからその濡れが雨水の浸水によるものかもしれないと心配しての準備であった。ゴアテックスに替えようかと思案もしていた。防水透湿性について調べてみると、発汗による水蒸気は外へ排出するにしても、汗の水分そのものは排出しないことがわかった。だからゴアでも蒸れをなくすことは不可能なのだ。だからゴアに買い換える気も薄れた。ただこのときいろいろ調べる過程でむしろ発汗を極力抑える努力の方がむしろ効果があり重要だ、との登山家の指摘が目に入った。この考え方だと思った。この意味から激しい運動の最中に身体の一部を露出するのは有効であるはずだ。その露出した体の一部に雨があたることによって運動による体熱の上昇の放熱効果があるに違いない。だから、レインウェアーの上着の袖を腕まくりしてみることにした。その実験結果は上半身のうち腕は雨でびしょびしょに濡れるが、他の部分のウェアー内側は蒸れ度が大分内場の感じがした、というものだった。もう何度かこのスタイルを試してみたいと思う。

 結局のところ、当初のあきらめの予想通りに今日は火打山の姿を拝することはできなかった。山頂からは360度一面のガスだ。眺望ゼロ。近いのだから紅葉狩りのときの楽しみにとっておこう、と余裕だ。
 でも予期せぬ幸運な椿事が無欲な小生のそんなチョットした気落ちを救ってくれたから、人間万事塞翁が馬だ。
 ライチョウだ。
沢山のアブや蝶や羽虫が乱舞する200坪位の広い無人の山頂で簡単に昼飯を済ませて下山しはじめてすぐの雪渓のところで途中で知り合った家族連れの人達と立ち話をしていたとき、白い残雪の端を何かが動いているのに気がついた。向こうからこちらの方に足早にヨチヨチと歩いてきた。6人の人間達には気がついたとしても、ほとんど無警戒にあるいはほとんど無視している風であった。その仕草は餌を探しているようだ。つがいでなく一羽だけだった。去年の4月に白馬乗鞍岳の麓の天狗原についで2度目だ。天狗原のライチョウ(@A)の羽はまだ冬支度であったが、今日のは既にサマータイム用に変わっていた。いわゆるわが国の温暖化に伴いその生息地が狭まっているとのニュースを見聞きするにつけ絶滅が危惧されるこういう稀少な生物がずっと生きながらえてほしいものだと願わずにいられない。

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 ハクサンコザクラの群落と残雪に彩られた、大小さまざまな池塘が散在する高谷池と天狗の庭はうっとりするほどの見事な湿原風景であった。そしてヒュッテから天狗の庭までの間の木道もも湿原とお花畑の中の遊歩道でそれはそれは魅力に満ちていた。残雪、木道の両側をびっしりと広範囲に埋め尽くすほどに大繁茂し、花期を迎えたばかりのイワイチョウ、その中に咲く紅紫色のハクサンコザクラやコバイケイソウ、ところどころにあるコメツガザクラの黄金色の壷花やイワハゼ、雪を連想させる、清楚な水芭蕉やサンカヨウ、キヌガサソウのいくつかの群落、などがずっと続く。特に天狗の庭のそのスケールの壮大さにはチョット驚いた。
そしてその天狗の庭を過ぎてしばらくするとそこから山頂直下の雪渓下までお花畑が散在し、そこでもハクサンチドリやシヨウジヨウバカマ、ヤマオダマキなどの色とりどりの草花が咲き乱れていた。残雪地帯も多くなり残雪と花の競演の世界だった。こんなにお花畑の多いい場所だったのかと驚くとともにヒュッテに戻ったとき昭文社版の地図で再確認したら確かに天狗の庭から山頂までの間にお花畑の印がいくつかあった。小生がその事実を知らなかっただけだったのだ。
素晴らしかった。
美しかつた。
 この時期に訪ねた幸せをつくづく感じさせてくれる別天地であった。
 
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 往復約18キロのみちのりを11時間弱かけて下山したとき身体が相当疲労困憊し、特に腰が痛くなり始めていた。
でも気持ちは達成感による自己満足と心の栄養剤を一杯もらったような充足感に満たされていた。両膝ももうヒアルロン酸注射が必要なさそうなのも嬉しいことであった。     

【写真記録】


☆☆ 残雪、花、ライチョウ ☆☆


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