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白山



【概要】


T所在地 石川県岐阜県  
U訪問日時  平成25年【2013年】07月01,02日(月、火曜日)
V天候 初日〜晴れ後曇り,微風;二日目〜曇り,微風
W標高 御前峰【ごぜんがみね】 [2,702.2m]
 X登下山コースと所要時間■初日
 平瀬道登山口 [≒1,200m](06:01)→≒3.6q→(09:29)大倉山避難小屋[2,038.6m](09:57)→≒3.3q [休憩;4分] → (12:39)室道[2,448m](13:42)→1.12q →(14:42) 御前峰[2,702.2m](15:07)→2 .2q[お池めぐりコース] →(16:07)室道
■二日目
 室道(03:53)→1.12q →(04:28)御前峰(05:00)→ 1.12q →(05:19)室道(06:16)→ 6.9q[休憩;31分]→(09:55)平瀬道登山口
  * 上記ルート図 
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒1,502.2m
 《2》日程〜一泊二日 
 《3》同行者〜単独
 《4》前夜泊〜登山口駐車場テント泊
  *国立公園内は指定地以外はキャンブ禁止であることを承知していたので登山口付近の大白水野営場を利用しようと思ったが入り口がチェーン封鎖されていたため入場できなかったので止む終えず駐車場に野営した。
 《5》歩行スタイル日程〜アイゼン持参するもベタ雪につきオールツボ足 


【詳細】


初日、白山山域の上空は青く澄んで綺麗に晴れ上がり、雲ひとつなかった。朝の内は風もなかった。
 登山道から目の届く限り、この森も生きていた。登山口からは、ブウの老若木を主人公としてカエデ、カメノキ、モミジ、ナナカマドなどの広葉樹が脇役をかためていた。3,4本のヤマツツジの朱赤色とコバノミツバツツジの紅紫色が彩りを添えていた。高度を上げると、ダケカンバがだんだん多くなり、そして終にはダケカンバの純林となった。ここもタニウツギが何本も賑やかに咲き誇っていた。沢山のナナカマドも白い花を身にまとっていた。ここも針葉樹は一本もなかった。室道平にさしかかったところでは何本かのミネザクラが淡い紅色の小花わいっぱい咲かせていた。室道平から高天原、そして御前峰の頂にかけてはハイマツの天下だった。ここも沢山のナナカマドが白い花を咲かせていた。シャクナゲは目に付かなかった。
 ブナとダケカンバの混成林ではハルゼミが大合唱をし、その鳴き声が無くなった後の地点では、ウグイスが明るく朗らかに歌っていた。この鳥は人懐っこい鳥らしくそばに来て美声を披露してくれる。わたし、歌上手だから聞いて、と聞かせたがっているように近くに近寄ってくるのではないか、と想像し、いつも微笑してしまう。
 歩くほどに左手前方に純白の沢山の雪渓を山肌に印した別山の山並みが初夏の空に映えていた。時折振り返ると、登山口にある大白水湖がコバルトブルーの湖面が緑の森の中にポッカリと浮かんでいた。登山道の谷側に木がないところでは、がけ下から吹き上げてくるそよ風は雪に冷やされた冷気のため汗ばんだ体に心地よい。
 白山はその名前が由来する高山植物が多いいので、高山植物の宝庫と思っていた。先月の荒島岳のあとここを訪ねなかったのは、ひとつにはこの山の草花を観賞したいという強い希望があったからだった。そしてその観賞には十分な時間が必要だろうと思い一泊二日にした。登山口のすぐ近くにヒメサユリ似のユリが一本薄ピンク色に咲いていた。マイヅルソウ、ツマトリソウ、オオバミゾホオズキ、ハクサンチドリ、ベニバナイチゴ、ミヤマキンポウゲ、ショウジョウバカマ、キヌガサソウ、コイワカガミ、サンカヨウ、イワハゼ、シナノキンバイ、ミヤマカラマツ、ミヤマタンポポ、コバイケイソウ、ヨツバシオガマ、キバナノコマノツメ、ツガザクラ、コメバツガザクラ、イワウメ、アオノツガザクラ、ミツバオウレン、イワツメクサなどがこの時期の花として咲いていた。他の山と種類は似たり寄ったりの気がした。ただ、その草花の大きさと数では、キヌガサソウとサンカヨウが目立っていた、と思う。コイワカガミも立派な群落がいくつかあった。前回の大朝日岳にはあったヒメサユリ、シラネアオイやカタクリなどは見られなかった。木の花ではタムシバもなかった。植物の生育の地域性の相違なのだろう。ひとつビックリしたのは、ゴゼンタチバナという花の数の異常に少ないことだった。この花の名前の頭の「ゴゼン」はこの山の名前の「御前峰」の「御前」が起源だと小生の図鑑では解説してあったのでさぞかしその数が多いいのではと勝手に思い込んでいたのだが、今回の山旅では、大倉山避難小屋からちょつとカンクラ雪渓へ向かったところで、3,40輪咲いていた群落を、たったひとつだけしか見なかった。小屋で花の好きな人に聞いても、見なかった、と言っていたので小生の見落としではなかった。と同時に、花の好きな人ならどなたも納得すると思うのだが、どこの山でもゴゼンタチバナの咲く時期はマイヅルソウやツマトリソウなどと一緒だ。ということは、この山にはゴゼンタチバナは稀にしかない、ということだと思う。
 昔、「黒百合の歌」というのを聴いたことがあった。女性歌手が「黒百合は恋の花、愛する人に捧げる花…………」と歌っていた。室道センターのWEBで2週間くらい前の日付で、「クロユリのツボミがふくらみはじめた…………」とあった。一刻も早く見たかった。5,6日前から好天の日を狙っていた。当日が来た。途中で下山してきた人に早速聞いてみた。咲き始めていた、と聞いて嬉しかった。室堂センターから山頂への登山道の間だという。昼飯を食べ、荷物をデポし、クロユリ見物に出掛けた。登山道の左側の路肩を良く見てゆくように、とのアドバイスに従って、約10分くらい歩いたところからクロユリが他の草花に混じって有った。茎丈は短く、ツボミは黒紫色をしていた。そして花開いているのがあった。あの独特の色合いは本当に忘れがたい。ニオイも嗅いでみた。それほどの悪臭には感じられなかった。登山口から350メートルくらいのところまでかなりの数が咲いていた。生まれて初めてクロユリを見たんだ、という想いは今回の訪問に合格点を与えてくれた。

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山頂ではガスのため展望は望むべくもなかった。晴れるのを30分くらい待ってみた。ガスが切れ始め、上空に青空が広がり始めた。よし、大丈夫だ、ダメだったら引き返せばイイんだ、と判断し、お池めぐりコースに出発した。血の池を出た途端にガスでホワイトアウト状態になってしまった。それまでの雪渓の足跡に較べて血の池を過ぎた途端に出てきた雪渓上の足跡は薄い。だから歩き続けたが千蛇ヶ池に気付かなかった。千蛇ケ池の所にあるであろう案内標識がいつまでたっても現れない。ルートを間違ったのではないか、という不安が頭をよぎる。もうこの薄いトレースを頼りに雪渓を横切ってしまうしかないとさらに進んでみた。横切った先のハイマツ林の一部に登山道の入口が見えた。ただガスは晴れていないいないため、室堂センターの方向がわからない。この入り口で間違いないのか、どうか。「オレゴン450」を持ってきていたのだとハッと気がついた。始動すると、その入り口の方向の先に「MURODO」と表記してあった。買って二年くらいになるが、「オレゴン450」に始めて感謝した。地図とコンパスではガスが晴れるのを待ち続けなければいけないわけだからこういう時はやはりGPSはすごい威力を発揮するものだと実感した。小生の場合はスノーシューでホワイトアウトに襲われて道迷いしたときに役立つだろうとの目論見でこの「オレゴン450」を買ったのだが、予想事態に似た状況に今回遭遇したことになる。戻ってから地図で確かめたら、どうも、血の池からストレートに室堂センターに直行するルートを通ってしまった、ようだった。お花畑を見るには、血の池のちょっと先を右折しなければならなかったようだ。
 そうした失敗はあったものの、このお池めぐりコースをして良かったとつくづく感したのは、コースを山頂から下の岩礫地に降り終え、両山を見上げたときだった。御前峰と剣ヶ峰は全山、岩石と残雪、そしてわずかの草木のみで、鋭くて荒々しく、そして勇壮な姿をして聳え立っていた。特に御前峰がお馴染みのおもての貌とは全く別の表情をしていたのには一驚した。一瞬体の中がゾクゾクした。そして対峙してる両山を見上げているとこんな妄想が浮かんできた。元はこの両山と大汝峰はひとつの山であったのが、大爆発で山頂部が吹っ飛んで、その爆発時の火口壁としてこの三山が今に残っているのではないだろうか。してみるとこの場所は爆裂火口の底なんじやないだろうか、と。そんな一瞬の空想は別にして小生にはいつまでも見惚れるほどの魅力に満ちた景観だった。この感動がこのお池コースめぐりの、いや、今回の白山訪問の最高最大の、この山の神の贈り物であった、と思い、感謝感謝。

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《  御前峰  》                      《 剣ヶ峰  》


 何時見てもご来光というものは感動的なのだが、今回もやはり素晴しいものだった。

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                              《右………剣ヶ峰  左 ………大汝峰 》


 いっぱいのプレゼントをいただき、一泊したせいもあり、自分でも驚くほどの、下山の足取りは軽かった。
 ハクサンコザクラやハクサンフウロなどのお花畑も見たかった。そしてブナ、ナナカマド、ダケカンバなどが多いいから紅葉が綺麗だろう、とも空想した。機会があったら再訪したいものだ。

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 下山後、登山口そばの大白水露天風呂で汗を流した。


【写真記録】


☆☆ 残雪と花の霊峰 ☆☆


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