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鹿島槍ヶ岳



【概要】


T所在地  長野県・富山県  
U訪問日時  平成23年【2011年】07月17,18日、19日 (日、月、火曜日)
V天候 曇り 
W標高鹿島槍ヶ岳  [ 2,889.1m ]
 X登下山コースと所要時間《 初日 》扇沢登山口〔1、330m〕(09:12)→1.7q→(11:04)ケルン(11:06)→4.5q→(15.08)種池小屋キャンプ場〔2,450m〕
《 二日目 》種池小屋キャンプ場(05:22)→≒1.5q → (06:06)爺ヶ岳南峰〔2、660m〕(06:08)→3.0q→(07:10)赤岩尾根分岐点〔2、488m〕(07:14)→4.0q → (09:58)鹿島槍ヶ岳南峰(10:47)→≒8.5q → (14:56)種池山荘キャンプ場
《 三日目 》種池小屋キャンプ場(05:33) → 6.2q→(08:28)扇沢登山口
 * 上記ルート図 
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒1,560m
 《2》日程〜 二泊三日
 《3》同行者〜 単独


【詳細】


鹿島槍を訪ねた日、台風が列島に近づいたせいだろうか晴れ間は少なく雲が多かった。ただガスはなく、雲も空高く、そして風もなかった。雨が降りそうな気配はなかった。 
種池小屋からすぐに爺ケ岳の稜線上に出た。360度の展望が開け始めた。そして、爺ケ岳山頂、布引岳を経て鹿島槍ヶ岳山頂へ。
 そしてこの山頂と稜線上の登山道からはいつも立山と剣岳が見えた。
連なる峰峰の薄茶色の岩肌にハイマツの柔らかい緑。沢山の雪渓の残雪の白さ。
 そして峡谷一面を覆うみずみずしい、濃淡の緑一色の樹木や草。陽射しが射す瞬間があると、そのときこの山々と峡谷のすべてが光り輝いていた。その雄大で神々しい美しさに呆然とさせられた。

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 赤岩尾根分岐点にたどり着いたとき、鹿島槍はちょうど陽を浴びていた。
どっしりとした重量感のある雄雄しく、そして凛々しいその姿に魅了された。布引岳、南峰、そして北峰と連なる山塊。その頂から谷底に落ち込んでいる急峻な岸壁と雪渓。美しい。

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 鹿島槍山頂からの北方の眺望は圧巻だった。この山頂から北峰へ、そしてその峰から左方へ折れて五竜岳のどっしりとした山体まで岩だらけの尾根の稜線が続いていた。そしてその稜線からは垂直と錯覚するほどの角度で断崖絶壁が遥かかなたの底の谷底に落ちていた。足がすくんでしまうほどの戦慄的光景だ。そして、五竜岳の奥の方には、ほぼ一列に縦に並んで唐松岳、鑓ヶ岳、白馬岳などが鎮座していた。圧倒的な迫力と壮大さにただただ見惚れるのだった。
そして山頂で休憩していたとき、単独行動の2人の青年が北方登山口から頂上に上がってきた。お一人は八方尾根、唐松岳、五竜岳、北峰と縦走し、これから扇沢に下山し、もうお一人は、白馬大雪渓、白馬三山、唐松岳、五竜岳、北峰と縦走し、今日は冷池山荘のテン場泊まりだとのことであった。お二人ともテン場での連泊だそうで、20キロはありそうなリュックを担いでいた。小生より少し遅れて登頂してきたもう一人は今朝扇沢を午前4時半ごろ出発しこれから北峰、五竜岳を経由して今日中に下山したい、と言っていた。なんとも羨ましいパワーだ、と感じ入った。小生の今回の当初計画では、昨日の初日は冷池小屋テン場までの予定だったが、種池小屋までが精一杯の非力さだ。食事は小屋にお願いする予定で通常食の食べ物などはリュックに入れてないにもかかわらずである。小生などとは山歩きの質量が全く違う、と実感。でも小生は年寄りなんだからしょうがない、と諦めるしかない。
 山頂で小一時間ほどのんびりとした。山頂でこんなに時間を過ごしたのは久しぶりのことだった。下山を始めるころ1群の白い塊の雲が、赤岩尾根をすごいスピードで這い上がって冷池小屋の方へあがって行くのが見えた。これが天気が崩れる前兆だった。小屋についてしばし休憩し、出発したころはすでにガスがこの地域を覆い始め、いつも見えた立山や剣岳、そして爺ヶ岳の中央峰や南峰も見えなくなっていた。
ガスにふさがれる前に一通りの景観を十分に観賞できたことを本当に幸運だと思った。だから種池のテン場まで戻る間ガスと小雨に巻かれたが心は幸福な満足感で一杯だった。 

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 この時期この山もお花盛りだった。。これまで見た他の山と比較しては驚くほどの質量ではなかったと思うが、それでも目を十分に楽しませてくれた。
種池小屋前のお花畑ではチングルマ、コバイケイソウなどか、 爺ヶ岳南峰直下の巻道のわきの砂礫地の斜面では何株かのコマクサが鮮やかに咲いていた。ハイマツ帯のなかではシャクナゲをたびたび見ることができた。冷池小屋のキャンプ場を過ぎると、解け残りの雪田があった。その斜面の上の方に紫色したものの大きな集団があった。目を凝らしてみると、シラネアオイだった。その斜面を登って近くによって写真を撮りたかった。でもその斜面は雪解け直後らしく草木の新芽がまだ出ていなかった。根を傷つけてはいけないと思い、我慢した。こうした場所の例に漏れず、潅木の下にキヌガサソウの群落があった。また別の潅木の下ではショウジヨウバカマが群生していた。この花の群落は始めてみた。そして一度は現物を見てみたいとは思いながらこれまで見たことのない花、「ツクモグサ」が登山道のすぐ脇で二株が咲き始めていたのを見てアッと驚いた。幸運な偶然に感謝した。布引岳から鹿島槍斜面にかけての風衝地ではチシマギキョウ、エゾシオガマ、イワツメクサなどが印象に残った。

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また植物だけでなく、残雪のある平地では子猿を背負った親猿とその群れが遊びに来ていたのを見たし、この山でもライチョウを行きと帰りに二度も見ることができた。布引岳のそばで、別の登山者から、ライチョウがいるよ、と声をかけられてそばに行ってみると、登山道のすぐわきにいた。すでに白い毛は全くない夏姿のメスの親鳥と5匹の雛鳥だ。微笑ましい光景にしばし見とれた。そしてそのとき、母親が絶えず、グ、グ、グ、………と低く小さな声で鳴いているのが聞こえた。雛鳥に母親の居場所を教えているためなのだろうか。鹿島槍の山頂訪問後の帰り道、チョットの間、あのライチョウ親子を目で探して見た。でもすぐに、岩の砂礫と似た色のやつが見つかるわけがないと、すぐに諦めた。ところが前を見て何歩か歩いたら、あの聞き慣れたグ、グ、グ、………という音が後ろから耳に飛び込んできた。アッ、と思い振り返ってみると、あのだ。写真でもわかりづらいのだが草の中の茶色っぽいのが母親で、道路の真ん中に3個並だで石に見える一番左がヒナだ。それにしても、去年仙丈ケ岳の登山道でもライチヨウ親子にばったりでくわしたのだが、どうしてこんなに登山道付近の場所が好きなんだろう。不思議なことだ。

今回キャンプについて二つのことを勉強させてもらった。
 今回は種池テン場で連泊したが、連泊初日は3連休の中日だった。受付で申し込みをし24番の番号札をもらってテン場に行ってみると、もうすでに沢山のテントが林立していた。かろうじて張れる狭いスペースを見つけることができた。27,28張りくらいで一杯になってしまい、他のキャンプ希望者は小屋泊まりを余儀なくされた、とのことだった。そして翌日、鹿島槍から戻って二日目の申し込みをした時の番号札の番号は2番だった。翌朝まで二張りだけだった。そして小生の張った場所はテン場入り口から一番奥だったため、迷路をたどるようにしないと出入りできなかった。この時他人様のテントの張り綱に足を引っ掛けて謝ったこともあった。このテント村を歩いていた時、張り綱を張っていないテントがあることに気が付いた。テントの四隅をペグで固定していたのだ。このテン場の地面は小石まじりの土だからペグが比較的楽に使えた。小生はどこでもいつも張り綱を張っていた。
 以上のことから二つのことを学んだ。
(1)人気スポットのトップシーズン中の休日にはテン場が借りられないことがあるかもしれない、ということを念頭において計画を立てること。
(2)強い風があたらず、ペグも使えるようなテン場では張り綱など張る必要がないこと。



【写真記録】


 ☆☆ 峰と花 ☆☆  


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