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 燧ヶ岳 



【概要】


T所在地  福島県
U訪問日時  平成23年【2011年】07月06、07、08日 (水、木、金曜日)
V天候 曇り 
W標高燧ヶ岳(ひうちがだけ) [ 2,356m ]
 X登下山コースと所要時間《初日》大清水登山口[ 1,180m ](12:02)→3.4q→(13:16)一之瀬休憩所[ ≒1,410m ](13:28)→3.0q→(14:58)三平峠 [ 1,762m ](15:00)→1.0q→(16:00)尾瀬沼キャンプ場 [ 1,690m ]
《二日目》尾瀬沼キャンプ場(05:05)→3.0q→(06:13)沼尻休憩所(06:54)→≒0.1q → (06:56)ナデッ窪道分岐 [ 1,670m ](06:56)→2.7q→(10:05)俎ー(10:20)→≒0.3q → (10:44)柴安ー(10:50)→≒0.3q →(11:09)俎ー(11:10)→≒2.8q→(13:21)沼尻休憩所(13:56)→3.0q→(14:47)尾瀬沼キャンプ場
《三日目》尾瀬沼キャンプ場(07:57)→1.0q→(08:48)三平峠 (08:54)→3.0q→(09:55)一之瀬休憩所(10:11)→3.4q → (11:07)大清水登山口
 *上記ルート図
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》沼尻登山口と山頂との標高差〜≒686m
 《2》日程〜 二泊三日
 《3》同行者〜 単独


【詳細】


下山する日の明け方に一雨あったくらいで、あとは時々陽のさすこともある曇り空が多かった。この時期にしては上天気の部類に入るだろう。
 沼尻平の十字路から湿原上の木道を燧ヶ岳の方へ向かって歩くと、しばらくすると樹林帯に入る。その入り口にロープに吊り下げられた立入り禁止標識がかかっていた。前の晩尾瀬ヒュッテの風呂場で、ある入浴者が、ナデッ窪は倒木が登山道を塞いでしまっていて入山禁止になっているらしい、と話してはいた。小生にとっては子供のころ倒木のある場所は遊び場だったのでたかが倒木のためにナデッ窪をあきらめるなどということは考えられなかった。なぜ入山禁止なのか、その理由は標識には書いてなかった。とにかく行ってみて、危険の実態に即して引き返せばイイと割り切ってこの道を行くことにした。少し行くと新しい倒木が道を塞いではいた。小生には越えるのに何の苦労もなかった。そして長英新道との分岐まで異様なことはなにもなかった。ということは、やはりあの倒木に対しての措置だったようだ。確かに小生みたいな野蛮人でない紳士淑女も入山する可能性があるのだから親切な配慮には違いない。余談だが、帰りもこの道を下ってきたのだが、そのときはこの標識はとりはずされていた。
 ナデッ窪の登山道は大小さまざまな石が無造作にゴロゴロと転がっていた。ところどころで湧き水がチョロチョロと流れていた。
 土砂はなく石ころだけのため、「道」というより涸れ沢の川床といった趣だ。西吾妻山のあの悪路を思い出させた。ある程度予想していたことなので驚きはなかった。ただ山頂までの距離が短いのが魅力で選んだ。すべらないように足の踏み場所に細心の注意を払いながら一歩一歩、ゆっくりと、そして時々小休止しながら歩いた。登ってきた方をふりかえると、高度を上げるにつれ尾瀬沼がその姿をだんだん大きく全体像を見せるようになった。足下に他に沼尻平、休憩小屋が、そして尾瀬沼ビジターセンター、長蔵小屋などの家並みが見えるようになった。沼の遥か後方は雲海が立ち込め、その雲の時々の切れ目に日光連山の男体山、白根山などがその姿を垣間見せてくれた。
 長英新道との分岐がもうすぐのところで、地面は濡れていてまだ草もなく、木々は新芽を出したばかりで、ミネザクラだけが咲いているところがあった。ここはまだ早春だ。そこから何歩かさきの斜面に雪渓が残っていた。下からこの山を望見したとき、俎ー直下にあったあの残雪だったのだと気がついた。
 分岐を左折すると、道の両側の斜面に衣笠草の群落があった。見事に咲きそろっていた。またすぐそばの左側斜面に沢山のタロッペもあった。採取しようとしたが、我慢した。気を取り直して目を進行方向に目を向けると、右に俎ーがそしてその左に柴安ーがそびえていた。もうすぐ山頂だ、という感激がじわっとこみ上げてきた。
 柴安ーの山頂台地の南側から眼下に尾瀬ヶ原が一望できた。薄いガス越しに東西を山並みに囲まれて、この山の裾野から南方に薄緑色の湿原が広がっていた。蛇行した川と大小無数の池塘が鉛色に鈍く光っていた。川沿いに育った木の並木が蛇行する川に沿って四方八方に伸びていた。尾瀬ヶ原の木道を歩くときはさほどの数の池塘に気が付かないが、山頂から俯瞰してみると、その数の多さにいつもながら一驚させられる。残念ながら至仏山はガスの中に姿を隠していた。湿原をはさんで至仏山と燧ヶ岳が向き合っている。おもしろい配置だ。北側には、残雪を残した会津駒ケ岳がよく見えた。
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 尾瀬沼のほとりを今回は三平下から沼尻平までほぼ半周した。整備された木道は樹林帯や大小さまざまな湿原を横切っていた。笹の生い茂った沼辺ではカエルが良く響く低音を出して静かに鳴いていた。薄いガスの立ちこめた沼は、無風で穏やかだ。背景の山々ともどもと墨絵の世界で、魅力的だ。湿原は緑色の草ぐさが生え、ススキやサツキなどの小潅木も混じっていた。そしてそれぞれの湿原の主の花は必ずしも同じではなかった。三平下ではコバイケイソウが、大江湿原の入り口付近から沼尻平までの間では、ある所ではアヤメ(カキツバタ?)が群生し、別のところでは沢山のワタスゲが湿原の草葉の緑と見事なコントラストを奏でていた。サツキとコバイケイソウが合唱しているところもあった。それ以外の所も含めて、よく目を凝らしてみると、緑の草ぐさのなかでハクサンチドリやキキョウなどがいたるところに点々と咲き競っていた。咲き始めたニツコウキスゲもあった。それ以外にも色とりどりのいろいろな種類の可憐な小花が目を楽しませてくれていた。平和で心穏やかなひと時を与えてくれる

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〈ワタスゲ湿原〉
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〈アヤメ湿原〉


 前から、会津駒と平ケ岳を訪ねる時にこの山を御池登山口からピストンしようというプランを持っていた。このプランだとこの山の日帰りができるからだ。大清水口からでは小生の脚では日帰りは無理だ。今回あえて単独でこの山を訪ねようとしたのは、この夏のキャンプ用荷物を担いでの体力テストをしようとした、のが大きな理由であった。
 小学生のとき訪ねた三平峠はそのころの小生にハードな印象を与えたが、前回大江湿原のニッコウキスゲ見物のときの三平峠は、楽だった。非力な小学生だから大変だった、のだと思った。そんな印象があったため、事前にウォーキングをしないで臨んでしまった。一之瀬休憩所から二つ目の橋を渡ってしばらくすると、ジグザグの急登がある。ここを歩き終えてから峠頂上までの比較的ゆるい勾配の木道までの間、両脚がひきつりはじめてしまった。12、3キロの荷物に耐えられなかったのだ。菓子パン3個の一食以外は尾瀬沼ヒュッテさんにお願いし、とにかく重量を減らす工面はしたつもりであった。でももっと重量を減らさなければダメなんだ。シュラフカバー、防寒衣のダウン上下が次回はカット対象だ。45リットルのザックに収まれば1キロ近く軽くなるのだが…………。
 それにしてもこういう暑い時期、一汗かいて体が火照っている時の冷たいもののなんとおいしいことか。
 ※ 行き帰りに食べた一之瀬休憩所の冷水で冷やしたトマトとキュウリ。
 ※ 燧ヶ岳下山後長蔵小屋売店で飲んだ冷えた牛乳。
 ※ 三平峠下の「岩清水」という名の湧き水の天然水。
 行きはザックの重さに気をとられ、また雲も多かったため、目には映らなかったのだが、帰りには日差しも多くなり、また下りで荷物も多少楽に感じたためか、「岩清水」付近のブナ林の空を覆う光を浴びた葉、そして一之瀬休憩所と大清水の間の登山道の谷川に散見されたミズナラの古木のミズナラの幹に心動かされた。

【写真記録】


 ☆☆ 豊かな尾瀬☆☆  


☆☆ 大江湿原のニッコウキスゲ【2005.07.21】 ☆☆


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