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 北岳・間ノ岳  



【概要】


T所在地 山梨県・長野県・静岡県
U訪問日時  平成22年【2010年】07月18・19日 ( 日・月曜日 )
V天候 快晴一時曇り 
W標高北 岳 [ 3,193m ]
間ノ岳 [ 3,189.3m ]
 X登下山コースと所要時間《 初日 》広川原山荘(06:40)→≒2.7q→(08:54)大樺沢二股(09:03)→≒1.3q→(12:02)八本歯のコル(12:34)→≒0.3q→(13:14)トラバース道分岐(13:15)→≒1.1q→(14:29)北岳山荘
《 二日目 》北岳山荘(03:58)→≒1.0q →(04:30)中白根山(04:31)→≒1.6q→(05:20)間ノ岳(05:23)→≒2.6q→(06:41)北岳山荘(07:30)→≒1.3q →(08:50)北岳山頂(09:31)→≒0.6q →(10:00)肩の小屋(10:05)→≒0.8q→(:)小太郎分岐点 (10:35)→≒1.4q →(11:50)大樺沢二股(12:28) →≒2.7q→(13:59)広川原山荘
* 上記ルート図 
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と北岳山頂との標高差〜≒1,673m
 《2》日程〜 一泊二日[前夜泊;葦安駐車場]
 《3》同行者〜 単独


【詳細】
 

午前3時40分にこの日の一日が始まった。
ちようど4時ごろには山小屋を出た。
まだ暗く、ヘッドライトがないと歩けない。
身支度はカメラと飲料水250ミリリットルとカロリーメイト一箱だけを持ち、防寒着としてレインウェアー上下を着込んだだけの軽装。
 おおよその見当をつけ岩ゴロの道を間ノ岳へ。
 ゆうべ二度ほど別棟のトイレへ行った。上空は無数の星がまたたいていた。手の届くくらいのところにあるかの錯角を覚えるほどの距離に感じた。翌日の寝不足の心配をする必要がなければ星の世界を遊歩できたかもしれない。
 風はない。暑くなく、寒くなく歩くのにはもってこいだ。
 東の空が焼けだした。
富士山が雲海の上に黒いシルエットのように浮かんでいた。
シンプルな形。
それだからこそ余計に美しいのかもしれない。

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 しかし間ノ岳への途中で激しい突風が吹き始めた。チョットよろけるときもあった。そして風に体温を奪われて寒いくらいの感じになった。しかし、時間がたつと、上空には一片の雲もなかった。雨は降らない、という確信が軽装の不安を一蹴した。あとは転ばないように一歩一歩慎重に歩けばイイだけだ。
 間ノ岳の山頂だ。ただ強風のため長居はできなかった。
 6時半ちょっと過ぎには山荘に戻り、食堂にて注文しておいた弁当朝食を済ませた。ずうずうしくも味噌汁を所望。ご親切に便宜を図ってくれた。おかわりもした。なぜか味噌汁が大変においしかった。
 いよいよ北岳だ。
 小屋の前の稜線を、今度は間ノ岳とは反対の方向へ、北岳山頂へ。風もすでに吹き止んでいた。空がどこまでも澄んで青かった。
 膝関節も痛くない。腿の筋肉痛もない。
 山頂に着いた。
 二峰を訪問できた達成感が心身を満たした。
 下山は八本歯のコル経由にするか、それとも右俣コースにするかと迷った。膝への負担の軽減という点で八本歯のコル経由がイイと盛んに勧めている自分がいた。確かに距離も短いし、ハシゴ階段が多く、そして雪渓というクッション道だからだ。ただまた八本歯のコル経由では芸がないような気がしたし、右俣コースはどんなルートなのかも興味があった。膝も痛くない。
 そして右俣コースで下山の途に着くことにした。
 結構岩ゴロの道が多かった。しかし、広川原にたどり着いたとき、膝に異常は起きていなかった。


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北岳山頂である人に知らない山の名をおしえてもらった。
その人は今日でこの北岳が六度目だという。そしてこんなに良く晴れているのは初めてだと言っていた。小生は自分の幸運に感謝した。
 富士山。
そしてつい先日訪ねた千丈ヶ岳と甲斐駒ケ岳。
 鳳凰三山に間ノ岳。その先に塩見岳。
 恵那山、中央アルプスの木曽駒ケ岳に空木岳、その奥に御嶽山、乗鞍岳、北アルプスの槍、穂高連峰、八ヶ岳、秩父連山などが遠近幾重にも連なって白い雲海上に浮かんでいる。飛行機から地上を見下ろしているようだ。
間ノ岳からこの北岳の稜線上でずっとこの眺望が続いた。天候に恵まれたときの岩礫地の尾根歩きのなんと快適であることか。
 相変わらず上空には雲はなく、風もない。ただ紺碧の空が輝いていた。満点の舞台装置だ。
 ただただ見とれる至福のひととき。
頂稜線上だけでなく、登下山に四方八方から何度も何度も見上げた、まだ残雪を残した岩峰の北岳やそれにつらなった山々のすがすがしく明るい姿のなんと素敵であったことか。


 小生のガイドブックには「北岳は白馬岳、大雪山と並び日本を代表する高山植物の宝庫である。……」とある。この言葉に惹かれてこの時期を選んだ。
嘘ではなかった。そしてこの時期に訪ねた選択を喜んだ。
間ノ岳から小太郎分岐までの約6キロの稜線上の斜面は岩と砂礫だ。そしてところどころにハイマツが地上を覆っている。それ以外はは草と花、花、花……。
 白、黄色、紫、赤、クリーム色……。
 これまで訪ねた中で大雪山の姿見平がすごかった。
だが、量と質とそのスケールの大きさにおいて負けず劣らず素晴らしかった。
 幸運にも固有種のキタダケソウにも出会えた。

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 こんなエキサイティングな別世界を体験したあとで、草すべりから二股までの草とダケカンバなどの潅木帯を歩いていると、稜線上とはまったく別の感情に自分が支配されていることに気がついた。興奮でなく、落ち着いた、心穏やかな、住むならこんなところがイイという安心感みたいなものだ。陽のしたで明るく輝く草木の葉にうっとりするくらいであった。小生の血は草木に親近性が濃いのかもしれない。


 年取った小生の体力では八本歯のコル越えの登りは非常にきつかった。でも、そのつらさにはるかに多いいおつりがでるほどの、山の神からのありあまるほどの褒美をいただいた北岳、間ノ岳訪問であった。  



【写真記録】


 ☆☆ すべてにただただ感嘆  ☆☆ 


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