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白馬岳



【概要】


T所在地 長野県・富山県
U訪問日時  平成22年【2010年】07月31日、08月01日 ( 土、日曜日 )
V天候 曇り一時風 
W標高 白馬岳    [ 2,932.2m ]
 X登下山コースと所要時間 《初日》 猿倉登山口(14:05)→≒2.4q→(15:22)白馬尻小屋キャンプ場
 《二日目》白馬尻小屋キャンプ場(05:06)→≒3.6q → (10:09)白馬山荘(10:11)→≒0.4q → (10:31)山頂(10:59)→≒4q → (14:08)白馬尻小屋キャンプ場(14:37)→≒2.4q → (15:27)猿倉登山口
 * 上記ルート図  
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒1、642.2m 
 《2》日程〜 一泊二日
 《3》同行者〜 単独


【詳細】


  猿倉の駐車場で装備の準備をしていたとき、同年輩とおぼしき男性が話しかけてきた。翌日の出発の下見に来た、とのことであった。白馬山荘と鑓温泉に宿泊し白馬三山を縦走する、とのこと。
 また、山頂直下でそれぞれが30キロ近い大きなリュックを背負った若い男女4人連れはこれから白馬御池でキャンプする、とのことだった。
いずれも小屋かキャンプを利用しての縦走だ。
うらやましかった。
 小生も当初はいずれかのコースを歩きたかった。
 だが小生は腰と膝に爆弾を抱えている。この小康状態のまま残りの山々を訪ねてみたい。だから今はできるだけフルコースでなくピストンの“手抜き”の山歩きで我慢しなければならない。そしてこれからはアルプスの山小屋泊まりが多くなり、お金もかかる。だからできるだけ節約をした旅をしなければならない。
 日帰りをするには体力に自信がない。
登山口から白馬尻小屋くらいまでならその高度差、距離からしてテント装備を運べそうな気がし、翌日の山頂訪問を無理なくできるだろうと思った。そして小屋と山頂の間で何か予想外に時間のかかることが起きてももう一泊すればイイという気安さもあった。
 みみっちいような計画ではあった。
 しかし結果的に大きな安心感と満足、そして幸福感を得て、山を後にすることができた。
リュックの荷物の軽量化ができたら、山中でのキャンプが可能となり、山歩きの行動範囲も広がり、しかも命の安全性も飛躍的に増える、に違いない。だから非力な年寄りの小生にとっては荷物の軽量化は切実な問題だ。
今回は、その軽量化の一環として、防寒用のダウンの上下のウェアー、調理用ガスバーナーとボンベなどの器具は持たず、食材はカロリーメイト3パックと水で飲めるミルクココア2パック(実際は最初は少量のお湯で溶かすという前段階の作業が必要という注意書きを小生が見落としていただけなのだが。)、飴、梅干、チョコレート一枚、栄養ドリンク200ミリリットルそして乾しレーズン一袋などと簡素化した。でも、前前回の千丈駒ケ岳のときと違い、キャンプ場所が雪渓のそばということでダウンの夏用シュラフは持たざるを得なかった。だから、荷物は全部で10キロちょっとくらいだった、と思う。それでも、荷物が重い、という感じでなく、リュックのショルダーが肩に食い込んで痛かった。下山時も平地を歩くときは同じに感じた。この程度の荷物は山頂まで担げるパワーがあればイイのだが…………

山頂では360度の大パノラマを堪能することはできなかった。
周囲は雲とガスで覆われ、風でガスが流されたときだけ天上のきれいな青空が顔を見せた。そんなときにちょこっと、旭岳や杓子か鑓の山頂や小蓮華山へのやせた尾根の一部が見えたりした。雲のなかにいる感覚だった。もちろん眺望がなくて残念という気持ちもあったが、そのこと以上に山頂まで来られという達成感、充実感の方が大きかった。

 ここも、高山植物の宝庫、として有名なそうだがただ時期が遅すぎるのではないかとも危惧してはいた。
 だが違った。
 村営頂上宿舎から山頂にかけて、ウルップソウなどはほとんどが散っていた。他にももう花期の終わった種もあるのだろうが、そんなことは微塵も感じさせないほどの、この時期を謳歌していた圧倒的な量の花々があった。
 登りはガスが多くて視界がなく、登山道脇の個々の草花を楽しむ事ぐらいしかできなかった。それでもおなじみの草花意外にミヤマトリカブトやイブキジャコウソウなどというものをはじめて見た。宿舎付近下にたどり着いたころガスが途切れ、上空に晴れ間もみえるようになった。このときの青空の色のなんと美しいことかと感動した。こんな比較的好ましい天気が山頂まで続いた。特に旭岳と唐松岳の分岐から白馬小屋の稜線はけっこう平坦な尾根のため、その砂礫地にまじって種種の色とりどりの花が咲いていた。タカネツメクサ、タカネシオガマ、コマクサ、ミヤマオダマキ、イワギキョウ、シロウマオウギ、イワツメクサ……………観賞しながらゆっくりゆっくりと歩いた。下界では決して見ることができない原生花園。山頂にも近づいたという実感も手伝って気分は高揚した。

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 降りるときは登るときに比べて比較的ガスも少なくなり、登山道脇に広がる斜面をおおう草原と草花を眺めることができた。まさしく言葉どおりのお花畑だった。そのなかの遊歩だ。そしてまだ膨大な量の残雪が左右の広大な山腹と谷を埋めているのも見えるようになった。前方には杓子岳の荒々しくそして鋭い岩峰と崩落の爪痕の生々しい岸壁が、そしてその杓子尾根と反対側の白馬岳の山塊の間を大雪渓が延々と下降している。ぞくぞくする景観だ。その大雪渓の氷雪を小生の10本爪アイゼンが確実にキャッチするのを意識しながら、そして落石音に一瞬緊張しながらも、快調に歩く。雪渓を渡る涼風が実に心地よい。痛快。
 岩、雪、草花、ガス、潅木……。 目に入るものすべてが魅力的だ。だから登山道を降りながら歩くだけで心が満たされる。
 おととしの八月現在の大雪渓ルートの取り付けの上陸地点からさらに上の登山道の土砂の崩落事故でお二人が亡くなった。そのニュースは大雪渓訪問を楽しみにしていただけに小生にとっては衝撃的であった。そんなに危険な山なのかと。だから当初今回はこの大雪渓コースでなく、栂池コースで訪問しようと思った。ただ一応念のためこのおととしの遭難事故の原因が何であったのかネットで調べてみた。不可抗力の天災であったのか、それとも人災の側面があったのかどうか、ということを。そしてこの事故の前に相当量の大雨が降っていた事実を、そしてその大雨が脆い地盤の土砂流失の要因の可能性が大であることをある方が指摘していた。訪問日前日までの一週間くらい前からこの地帯の天気予報を見てきた。そして大雨は降ってはいないようだった。大丈夫そうだ、と確信し、だから猿倉を選んだ。
確かに大雪渓ルートの上部では、直径30センチくらいの大きさの落石が散乱していた。ガラガラという土砂のずり落ちる反響音が谷にこだまして、その音のする露岩の斜面の方を注視するような場面もあった。でも冷静に観察してみると、その落石箇所とペンガラのルートはかなり距離があり、杓子尾根が崩れ落ちない限り、雪渓での落石事故に遭遇することはない、と確信した。
雨などが降り続いた日々さえ避ければ、他の山と同じように落石遭遇事故にあう確率は少ないような気がする。
天候条件にさえ恵まれれば、このコースはやはり魅力的で素晴らしいと思う。
万々歳の上天気ではなかった。でも、まずまずの天気のもと、このコースを歩いて本当に良かった、と思う。

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【写真記録】


 ☆☆ 白馬岳の初夏  ☆☆ 


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