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甲武信ケ岳



【概要】


T所在地  山梨県と埼玉県および長野県の県境
U訪問日時  平成20年【2008年】6月7日(土曜日)
V天候 朝のうち快晴後曇り
W標高 甲武信ケ岳  [2,475m]
 X登下山コースと所要時間 毛木場駐車場(6:27)→5.9q→(9:11)千曲川源流点(9:17)→1.0q → (9:35)奥秩父縦走路分岐点(9:36)→ 0.5q →(10:03)甲武信ケ岳山頂(10:28)→1.2q→(10:58)三宝山 [2,483.3m](11:05)→1.5q→(11:40)尻岩(11:41)→1.8q→(13:09)大山(13:11)→1.1q→(13:40)十文字小屋(14:17)→≒3.3q→(15:25)毛木場駐車場
 * 上記ルート図
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒1,042m
 《2》日程〜日帰り
 《3》同行者〜I氏


【詳細】


昨日は眺望とシャクナゲを期待しての訪問だった。

 毛木場駐車場を出発してしばらくは空を見上げると雲ひとつ見当たらない快晴の上天気で内心今日はもしかすると山頂から素晴らしい眺望に出会えるかもしれないと心躍った。
ダケカンバ、ブナ、ナナカマド、カエデねカツラなどの新緑が陽に映えていつもながらのことながら心をくつろがせてくれた。そんな時間は長続きしなかった。木の葉越しにひとひらの雲が見えたと思ったら10分もしないうちに空は雲と霧にほとんど占領されてしまって、下山時まで似たり寄ったりの空模様であった。この時期の天気予報は当てにしてはいけないと思ってはいるが雲と雨マ−クの週間天気予報のなかで久方ぶりの晴れマークだったので出かけてみた。でも物は考えようで雨に出くわさなかっただけでもラッキ−だと思う。

 登山道脇にシャクナゲの木が多くあったが開花したシャクナゲを始めてみたのは大山でであった。岩の山頂近辺で何本かが咲いていた。それまで木々の幹と葉や苔の色ばかり目にしていたのでシャクナゲの花が突然目に飛び込んできたときには会えた、という満足感が心に広がった。
 十文字小屋周辺の何十本かのシャクナゲは5、6分咲きだったろうか。それでも小屋周辺の空間は豪華絢爛なシャクナゲ色に包まれていた。色にも濃淡の差があり一様でないのがまたイイい。丹沢には鹿除けネットが縦横無尽に張り巡らされていたが、ここでは例のグリ−ン色した合成繊維の人間除けネットが群生地の周囲に張り巡らされていた。小屋主の方もこういう自衛手段を人間に対してせざるをえなかったのは辛かったと想像する。ネット内の小屋のすぐ脇の小岩に一株くらい(遠目だったので正確ではないが)のうすいピンク色のクモイコザクラの小花が5、6輪咲いていたが多分昔はもっと株数が多かったのであろう。
 他に全山シャクナゲの木は多かったが山中で出会った登山者のお一人が、今年は花芽が少ない、と言っていたので観察してみると、その通りであった。今年はそういう年なのだろう。また三宝山の山頂で会ったある人にシャクナゲの群生地が小屋から往復1時間くらいのところにある、と聞いたが小屋に着いたときに小生らにはその時間がないのがわかり断念した。

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 好きなものとの不意の出合は嬉しいものだが、昨日はそれが苔とシダとの林床であった。
 どういうわけか昔から苔が生えた風景は好きだ。特に千曲川源流地点付近の登山道脇のトウヒやコメツガやトドマツなどが生い茂った山腹斜面の倒木も含めて苔やシダ類がビッシリと繁茂しているさまに圧倒された。人跡未踏の深山の原生林を彷彿とさせるようなその景観は実に見事であった。ここは特に最近のものと思われる倒木や間伐材がなかったためにその感興を一層かきたててくれた。そして驚いたことに十文字小屋までの樹林帯のほとんでの斜面が一面同様にジュ−タン苔であった。ただ源流地点以外の場所では最近の倒木や間伐材がかなりの分量地面を覆っていたために多少ガッカリはしたが。100年もして源流地点並みにその倒木類を苔がカバ−してくれたらと願いたい。半袖だったのだがこうした樹林帯を歩いているときは鳥肌がたっていた。こういった環境が冷気のひとつの原因のような気がしてならなかった。
 いずれにしろ予想外のその規模は小生には驚きであった。ただこの苔むした林床の写真撮影に失敗したのは残念であった。

 山によってこうも違うものかと気が付いたことのひとつに山ツツジ、ミツバツツジ、アカヤシオ、シロヤシオなどがこの山塊にはほとんど咲いてなかったことであった。あの残雪状況から判断してもう既に散ってしまったということではないような気がするのだが。シャクナゲもツツジ科だそうだから親類縁者は沢山いることには違いないのだが………そしてアセビとか山吹などの花も見かけなかったし、二輪草などもわずかしか見かけなかったくらいに山野草の花はなかつた。同じ秩父山系でわずかな距離しか離れていない両神山とはずいぶんと植生が違うようである。
 毛木場駐車場に着いて車を降り周囲を見回して新緑の美しさにホッとすると同時にある異様な光景に目を奪われた。この駐車場の周囲だけでなく周回コ−ス全域にわたって何度も何度も同じ光景を見ようとは当初想像もできなかった。
 4,5メ−トルの丈で直径が15センチくらい前後の白っぽい幹のひょろ長い木が、多分シラカバかダケカンバなんだろうが、あるものは幹の中途で折れ、残りの大多数のものはやはり中途でひん曲がっていた。痛々しい光景であつた。また全山にわたって半端な数ではなかったので驚いた。
 小さい頃雪の重みで曲がって一冬をそのままの格好で耐えたけど雪が解けても自分の姿勢をもうまっすぐ立て直すだけの気力と体力は失せ、その後何年間も同じ姿勢で毎冬の積雪に耐えながら成長し、あるものは耐えられず折れてしまった、と小生は推測した。
 いずれにしろ大自然の中での熾烈な生存のための闘いの姿に慄然たる思いがした。

【写真記録】


☆☆  シャクナゲ三昧  ☆☆


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