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那須岳



【概要】


T所在地  栃木県と福島県の県境
U訪問日時  平成20年【2008年】6月13日(金曜日)
V天候 晴れのち曇り、一時強風 
W標高 那須岳 [ 茶臼岳 ]  [ 1915m ]
 X登下山コースと所要時間鉱山事務所跡(7:30)→1.3q → (8:20)峰の茶屋(8:27)→1 .0q →(9:01)茶臼岳(9:07)→1.0q→(9:23)峰の茶屋(9:25)→0.9q→(10:10)朝日岳の肩(10:10)→0.3q→(-:-)熊見曽根(-:-)→1.1q→(-:-)北温泉分岐(-:-)→0.9q→(11:36)三本槍岳 [ 1916.9m ](12:15)→2.5q→(13:12)朝日岳(13:17)→2.5q→(14:45)鉱山事務所跡
 * 上記ルート図
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒454,9m
 《2》日程〜日帰り
 《3》同行者〜単独


【詳細】


  三本槍岳から下山を始めた頃から那須岳上空一帯にも雲が広がり始めてきていた。だがそれまでのほとんどの稜線歩きの時間は快晴と初夏を思わせる強い日差しと冷気を含んだ風がすべて心地良かった。
 梅雨時だから墨絵的な雰囲気も時にはいいのかもしれないが那須岳は明るい陽光の中での姿が似合うと思う。

  1963年に茶臼岳は降灰を伴う水蒸気爆発をしたという。今から45年くらい前だ。現在も山上の噴気孔から水蒸気と火山性ガスを噴出していた。
 活火山を持つ山域は岩石のみの地域とそれ以外の地域とふたつの異なる相貌を持っている。
 那須岳も例外でないようた゛。
 活火山の茶臼岳や死火山ではあるがその表情の一部が茶臼岳とよく似ている朝日岳と三本槍岳を中心とした火山活動を卒業し命を育む立場に変貌した山々だ。

 昨日の茶臼岳訪問はその北側山麓を峠の茶屋避難小屋まで西進し、そこから今度はほぼ南東に山頂に通じるコ−スであったのだが小屋から御釜および頂上周辺はほとんどが大小入り混じった岩石の無造作な堆積群だった。そこにはわずかに無名草(小生には)が根を張っているのが何本か見られた。時期が早すぎたからということなんだろうか。燦然と光り輝く太陽のもと生命の息吹きを感じさせない荒涼とした乾ききった世界。大袈裟な表現かもしれないが動植物の存在しなかった太古の大地を偲ばせてくれるような気がして小生はこんな賽の河原みたいな光景がむしょうに好きだ。茶臼岳だけでなくその奇岩怪岩のかずかずを剣ガ峰から朝日岳の肩近辺までも目前でイヤというほど目にできたのは小生には嬉しい限りであつた。剣が峰の麓からの朝日岳は圧巻だった。崩落の現在進行形を思わせる巨大で急峻な赤茶けた岸壁と沢のすべてがその余りの乱雑さゆえに魅力的であった。
 でもそんな殺伐とした世界でも命の躍動が着々と進行しているようであるのは驚異的なことだと思う。中の茶屋跡を過ぎた登山道の脇にはハイマツやいろいろな小さな草が生えていたが、ひときわ可憐な白っぽい小花を咲かせていたヒメイワカガミの群落はそこにすでに新しい別世界を築いているようであったのが印象的であつた。また剣ガ峰の登山道脇斜面では赤っぽいイワカガミがやはりひっそりと咲き競っていた。光と雨水だけで岩だらけの土地という悪条件のなかで気の遠くなるような時間をかけてそれそけれの種が命の輪を広げてきたのだろう。 

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 朝日岳山頂からの茶臼岳(中央) と剣ガ峰(右側)


 

  朝日の肩を過ぎると周囲の風景の雰囲気は一変した。
 小木と葉と花とそしてウグイスが気持ち良さそうにさえずつている色と音の彩り豊かな世界になった。
 熊見曽根の路傍では何本かのオオカメの木が純白の花を綺麗に咲かせ、ハイマツや熊笹にまじつてアズマシャクナゲが赤、ピンクとはっとするほどの鮮やかさで散見できるようになった。わずかであるが純白の雪渓もあり、みずみずしい新緑と上空の紺碧空とすべてが五感を幸福感で満たしてくれる。来て良かったと実感する。清水平のささやかな池塘とそこに花開いていた二輪草みたいな純白な草花もよかった。さらに先に進んだ北温泉分岐のちょっと先から三本槍への登山道は無名峰の斜面の下の方を西進するのだが、この斜面の上の方まで熊笹やハイマツなどに混じって沢山のシャクナゲの花が咲いていた。先週見た十文字小屋周辺のここのと較べると大木のシヤクナゲの豪華さも良かったが、ここの斜面全体にシャクナゲの花が点在するその光景のあでやかさの方が小生は好きだ。三本槍頂上まであとわずかなところからシャクナゲだけでなく何本もの赤紫色のムラサキヤシオと数本の薄桃色の峰桜が開花し始めているではないか。心躍る素敵な場所だ。道草ばかりくっていた。こんな無駄で贅沢な時間を思う存分好きなだけ満喫できる幸せをかみしめながら。
 あちこちでウグイスが鳴いていたのであるがそのうち一羽が耳元でばかでかい声で歓迎のさえずり、というより叫び声をあげていたのには苦笑した。ここの辺のウグイスは人間を怖がらないのだろうかと。

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【写真記録】


☆☆  那須岳の岩と花 ☆☆


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