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雌阿寒岳



【概要】


T所在地  北海道  
U訪問日時  平成20年【2008年】7月20日( 日曜日 )
V天候 山頂〜快晴、無風 
W標高 雌阿寒岳   [ 1,499m ]
 X登下山コースと所要時間 登り《オンネトーコース〜≒4q》下り《雌阿寒岳温泉コース〜≒2.6q》
 オンネトー登山口( 4:55)→( 5:23)二合目( 5:23)→ ( 6:12)五合目( 6:12)→ ( 6:48)七合目( 6:48)→( 7:25)山頂( 7:48)→( 8:10)八合目( 8: 10)→( 8:27)六合目( 8:27)→( 8:38)五合目( 8:38)→( 9:20)二合目( 9:20)→( 9:48)雌阿寒岳温泉登山口( 9:48)→≒2.4q→( 10:42)オンネトー登山口
 * 上記ルート図
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜≒859m
 《2》日程〜日帰り[前夜泊;オンネトー国設野営場]
 《3》同行者〜単独


【詳細】


 さあ、出発だ。
 アカエゾマツやダケカンバなどの針広混交林を静寂が支配している。
朝まだきのほのかに明るい空間に薄いピンク色のものがが浮いている。シャクナゲの花だ。登山道に沿って木々の下を5合目くらいまで彩っていた。豪華さでなく清楚 さを感じさせる量だ。もしかしたら時期遅れなのかもしれない。
 5合目付近では林床が苔で覆われている。原生林を感じさせる。
 6合目は樹林帯を抜けてハイマツ帯だ。
 朝日が明るい。
 風もない。
 上空は紺碧の空だ。
 遠方の下界は一面白い雲海だ。
 前方の目の前には均整のとれた、茶褐色の砂礫質の阿寒富士が、振り返ってみると下方には濃緑色の樹海のなかに群青色の小さなオンネトーが、静かなたたずまいをしている。
 7合目あたりで登山道はハイマツも少なくなり、火山灰と砂礫の急坂となって、火口壁の稜線へ向かっていた。
 イワブクロが群生している。イワギキョウも散見される。綺麗だ。
 阿寒富士への分岐だ。立ち寄りたい誘惑に駆られる。でも足の心配が進路を左手にとらせる。
 もう目をあげれば砂礫ともうもうたる噴煙だ。轟音も聞こえるようになった。
 火口壁の縁を先へ進むと火口底が真下に望めた。激しく噴煙をあげているところがある。群青色の水をたたえた小沼がある。茶褐色の水溜りもある。
 阿寒湖コースの分岐を過ぎると右手斜面に一部噴煙の上がるでかい火口がある。
 両火口の間の稜線をちょっと進むとそこが山頂であった。
 頂上からは最初目にした火口底の隣にそれより大きなそして底がより深いと思われる火口底があった。その底には赤い水をたたえた小沼があり、火口壁の下の方の何箇所から噴煙が轟音をたてながら激しく噴出している。
この火口内を多数のツバメが乱舞していた。
 屹立した対岸の極彩色のいろとりどり色した火口壁が小生に灼熱したマグマのぐつぐつ沸騰してるさまを連想させた。
 反対方向に目を転じるとそこにもさらにでかい面積の巨大な火口がある。噴煙もあがっている。その上方に雄阿寒岳が見える。
 十勝岳はコークス色を基調とした陰気な印象だった。
 だがここポンマチネシリ(アイヌ語で小さい女山という意味だそうだがこの言葉も語感がイイ。)は明るくカラフルだ。
 今日始めて火山の凄さと美しさを見たような気がした。
 ゆっくりしたいがでもそうもしていられない場所のような気がして下山することにした。
 9合目あたりではメアカンフスマが可憐な小花をいっぱい咲かせ、それに蝶が何匹か渡り歩いていた。今回の山旅で高山植物に群がるこんなに多くの蝶を見たのは始めてだ。好天気のせいなのだろう。
 ほとんどの場所のハイマツが背丈より低いせいか見通しがきき気持ちいい。阿寒湖も見えた。独特の色したオンネトーも眼下にある。
 3合目のちょっと上からやっと針広混交林に入った。そしてアカエゾマツの純林だ。一本一本が太くてまっすぐ天に向かって伸びている。
 雌阿寒温泉登山口も上天気だった。そこからオンネトーまでは人一人いない静かな樹林帯だ。沼のそばにシャクナゲの群落があるはずだ。もうほとんどが落花していた。
 オンネトー登山口にもどり登山届ノートに下山時刻、10時42分を記入した。


 オンネトー湖畔に展望台がある。
 大勢の人がポンマチネシリと阿寒富士そしてオンネトーに見入っていた。絵葉書のように美しい。
 アイヌ語でオンネトーは「老いた沼」という意味だそうだが、アイヌの人達は「老いた」という言葉にどういう感情を抱いていたのだろうか ? ………… 
 山高きがゆえに必ずしも貴からず。その言葉を思い出した。

 小生がもっと年をとり、足腰が衰えたら、春夏秋冬この地の周辺を自由気ままにトレッキングし、そして野中温泉の野性味あふれる湯船につかりながら湖畔でのんびりと何日でも過ごしたいものだ。
百名山巡りを始めてみてそんな想いを持てた山に出会えて良かった。
 何度でも行ってみたい、そんな山にめぐり合いたい、というのが百名山訪問の最大の目的だったのだから。

 さらば、ポンマチネシリ !
 ありがとうオンネトー !
 

【写真記録】


☆☆ ★★★★ ☆☆


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