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 塩見岳 



【概要】


T所在地 静岡県・長野県  
U訪問日時  平成26年【2014年】07月12日(土曜日)〜14日(月曜日)
V天候12日〜晴れ 、13日〜曇り後雨、強風、14日〜雨 
W標高塩見岳 [3,052m]
 X登下山コースと所要時間
《初日》 鳥倉林道ゲート駐車場(越路)[1,630m ](09:59)→≒2.4q[145m]→(10:54)鳥倉登山口[1,775m ](11:06)→≒3q[525m ][休憩;31分] → (14:39)豊口山分岐[2,300m ](14:40)→≒0.5q[280m ]→(15:25)三伏峠小屋[2,580m ]
《二日目》三伏峠小屋(04:26)→≒2.1q →(05:29)本谷山 [2,657.9m ](05:33)→≒3q →(07:25)塩見小屋[2,766m ](07:34)→≒1.1q → (09:07)山頂(09:18)→≒6.2q[472m][休憩;67分] →(14:35)三伏峠小屋
《三日目》三伏峠小屋(5:42)→≒5.9q [△950m ][休憩;7分]→(8:38)鳥倉林道ゲート駐車場
 * 上記ルート図 
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》鳥倉林道ゲート駐車場と山頂との標高差〜≒1,422m
 《2》日程〜 二泊三日
 《3》同行者〜 単独


【詳細】


 山頂を訪ねる日の早朝、雨も降っていないし、風もなかった。小屋からほどなくのところにある三伏山の頂上に着いて周囲を見渡してみると山々は憂鬱な表情でたたずんでいた。それもそのはず、空は見渡す限り雲に覆われていた。曙光の気配さえほとんど感じられないくらいだった。そして塩見小屋がほどなくと思われる所で、とうとう降り始めた。小屋で小休止し、ザックを小屋にデポして、デジカメとスティックだけで出発した。山頂への稜線上の道を登るに従い、雨風が強くなり、ガスも一段と濃さを増してきた。登山道は草地の中の裸地だったり、砂礫地の中の道であっても踏み跡が確かだったから道迷いの心配はないと判断した。何かにつかまらなければ立っていられないような烈風ではなく、雨も豪雨というほどでもなかった。不安ではあったが、行けるとこまで行ってみることにした。天狗岩近辺で雨は降り止んで、強風だけになったから山頂訪問がうんと楽になった。
 山頂標識を目にした時は、やったぞ、という達成感が心に湧き上がった。ガス一面の世界だから、展望はなかった。
 雄大な眺望に感嘆できずにその点では残念ではあったが、予想も期待もしていなかった嬉しいことにめぐり合えた。こんな岩礫地なのに草木の花々が風に吹かれ、雨に濡れながらも、逞しく華麗に咲き乱れていた。巨岩と花、ロックガーデンの単純美の世界だった。
 ミヤマキンバイ、イワウメ、ハクサンイチゲ、ツガザクラ、イワウメ、ツメクサ、ミミナグサ、キバナシャクナゲ、ミヤマオダマキなどなど…………。
 特に山頂付近に、キバナシャクナゲが沢山咲いていたのにはビックリした。
 目的の達成感と美的感動に報われた幸福感で帰りの足取りは疲れで重かったが心は明るく晴れ晴れとしていた。
 そして山頂を下り始めてすぐに登山道脇の斜面の岩礫地に一羽のライチョウを見かけた。白色のわずかな羽以外は褐色だった。岩陰に入ってしまったので写真は撮れなかった。でもこの山もライチョウがいるのを知った。


 小屋の近くにお花畑がある。丘の斜面をシナノキンバイとクモマスミレ(?)が黄色く染め、その中を青紫色のハクサンチドリが点々とあった。鹿の食害にあわないと、かくも壮大な花園ができるのかと、ウットリとただただ見惚れるばかりであった。旬に出会えて本当に幸運であった。
 また、針葉樹林の登山道脇に沢山の清楚な姿を見せてくれたオサバグサも強く印象に残った。

 下山時、雨が上がり、霧が林内を埋め尽くす。ウグイスやその他の小鳥達の鳴き声。幽玄な墨絵の世界がそこにあった。こんな世界に身を置ける幸福感もまた今回の山行きに彩りを添えてくれた。


 そしてもうひとつ嬉しいのが、膝がほとんど痛まなかったことだった。三月からこの日まで膝関節を酷使しないで大事にしてきた甲斐があった。

 さてこの次はどこにしょうか?!

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《 余禄 》
 山頂から下山した日、小屋までで二度転倒し、靴の中もビシヨビショに濡れ、雨風も止んでいなかったので、大事をとりその晩も泊まることにした。
 宿泊客は私と外人の二人だった。その人は35歳のサンフランシスコに住んでいる会社員で一ヶ月のバカンスで訪日している、とのことであった。名前はダムレン・シュルツといい、いただいた名詞には「MS MBA」という学歴があった。健康データのコンサルタントを仕事にしているようで、サンフランシスコの日本語学校に通っているそうで、少し日本語を理解し、喋る事もできた。
 日本に来て槍ヶ岳、穂高岳を訪ねていた。そして、今回は奈良田温泉から入山し、前の晩は熊ノ平小屋に泊まり、その日仙塩尾根を縦走してきた、とのことだった。翌日以降の予定を聞いたら、荒川三山の中岳、赤石岳、聖岳、上河内岳を通って畑薙湖畔に下山する、という。大縦走だ。心配になり、日本はこの時期、梅雨といい、雨が降り続く日々が続く、だから、雨と強風で低体温症になり、死んでしまうから、小生と一緒に明日麓に下山しよう、とブロークンイングリッシュで提案したところ、彼はニコニコしながら、日本語で“大丈夫、大丈夫”と受け付けなかった。体力などに相当自信があるようだった。25日には富士山に行くんだ、と楽しそうに話していた。その後は、熊野古道に行く、とのことだった。日本食が大好きらしく、夕食、朝食とも全部綺麗に平らげた。特に、味噌汁はお替りするほどだった。日本大好き、だという。こういう若い親日家がいるのに出会えたのはラッキーだった。翌朝彼の幸運を祈りながら、握手して見送った。早足のため、彼はすぐに霧の中に消えた。



【写真記録】


 ☆☆  眺望はなかつたけど………  ☆☆ 


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