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谷川岳



【概要】
T 所在地 群馬県と新潟県の県境
U 訪問日時 平成20年【2008年】4月9日(水曜日)
V 天候 晴れ、微風
W 最高峰 オキの耳 [ 1、977m ]
X 訪問山岳名 トマの耳 [ 1、963.2m ]
Y 登下山コースと所要時間 「谷川岳ロープウェイ」山頂駅(天神平)(9:00)→≒2.8q→(12:30)オキの耳(13:00)→≒2.8q→「谷川岳ロープウェイ」山頂駅(15:00)
 * 上記ルート図
 * 表示距離についての注記
Z その他 《1》歩行スタイル〜「谷川岳ロープウェイ」山頂駅→鎖場……スノーシュー, 残り……ツボ足とアイゼン
 《2》山頂駅とトマノ耳との標高差〜644.2m
 《3》日程〜日帰り
 《4》同行者〜I氏


【詳細】


 前橋市内を流れる利根川にかかる群馬大橋、大渡橋などから冬の日の晴れた早朝、北方を見ると子持山と小野子山の間に雪化粧した純白の谷川岳連峰のふたつの鋭峰(仙ノ倉山と平標山?)が朝日に黄金色に輝くのを見ることができる。見るたびに魅せられる。憧れみたいなものがだんだんと大きくなっていつかあの雪山を歩けたらイイななんて空想するようにもなった。だけどなにせ“魔の山”だから怖くて近づき難い。
 一応4,5年前の9月末頃だったと記憶しているのだが、マチガ沢出合からの巌剛新道ルートで双耳峰を登ったことがある。途中このルートの登山者にはほとんど会わなかったのに肩の小屋付近で沢山の団体客とおぼしき中高年登山者と出会ったのにはビックリした。ほとんどが天神尾根コ−スからの人達だったのだ。一の倉や万太郎などへの尾根筋がくっきりと見え、いつか縦走してみたいものだなどと妄想したことやトマの耳とオキの耳の周辺ではすでに紅葉が綺麗に始まっていたのを思い出す。ただ苦い思い出もあつた。帰路のゴツゴツの岩道で膝関節をいため何ヶ月間は山歩きを自粛せざるをえなかったことだ。
 一の倉出合からの一の倉沢岸壁を見るのが好きで冬以外の季節にも何度か行ったことがあるが、今年は1月20日と2月29日に行った。その圧倒的な存在感にはいつものことながらただただ感嘆するばかり。
 そしていろいろ調べていくうちにまだ雪山入門者の身ではあるが冬の谷川岳訪問も天神尾根コースなら天候にさえ恵まれるならば不可能でもないような気がしてきた。I氏にも2、3度そのことを話すとI氏も人気コ−スだからトレ−スがあるだろうからそんなに難しくないかもしれない、と同様な感触を持っているようであった。
 翌日は本白根山に行こうということになっていた前日に気象庁の天気予報で上信越方面を再確認してみると、富山、新潟、佐渡方面が翌日丸一日晴れマ−クで長野、群馬、栃木、福島方面は晴れと曇りマ−クとなっていた。ということは谷川岳が天候の急変で吹雪くというようなことはまずないということだから絶好の谷川訪問日の到来ということに気付き本白根山をとりやめて谷川岳に変更するようにI氏に提案した。まずとりあえす゜「熊穴沢の頭の避難小屋」まで行きそこでの天気次第でさらに頂上まで行こうと。I氏も快諾し急遽谷川行となった。
 関越自動車道の赤城インタ−から沼田インタ−までの車窓から雲ひとつない青空の下、谷川連峰、武尊山などの上越の山々が光り輝くのを見るのはなんとも心躍った。
 ロープウェイから見えるすぐ側の山の斜面の雪が想像していた以上にはるかに少ないのには驚いた。そう、間違いなく谷川岳にももう春が来ているのだと。

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〈天神平からの左双耳峰と右白毛門〉
                  

最近は天気が崩れると雪でなく雨になっていたので登山路は湿り雪となっていた。だからツボ足、スノ−シュ−、アイゼンでもいずれも滑りやすく歩きづらかった。でも天気は快晴でしっかりしたトレ−スもあり、双耳峰もくっきりと見え目指すべき方向を間違う心配もなくまた途中で道迷いの恐れもないとすぐに確信できた。
 尾根筋からは左手に万太郎山やオジカ沢の頭などをいつも望みながら歩くことができた。
 「熊穴沢の頭の避難小屋」はすっぽり雪で埋まっていたから山稜の積雪は2メ−トル近くになっていたのではないだろうか。小屋からの急登を超えると森林限界になりそこらあたりからの白一色に光輝くふっくらとしたたおやかでそれでいて雄大な山容のなんと魅力的であったことか。己のドジのためこの写真を撮れなかったのはかえすがえすも残念であった。
 肩の小屋を左手に見て肩の十字路の道標の下を通り“やっと”の思いで双耳峰のひとつにたどり着いた。

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〈 トマの耳の標識。左側がオキの耳でバックに見えるのが白毛門 〉


  頂上からの四方八方に連なって見える谷川連峰を中心とした上越の山塊は我々をその場から立ち去らせがたくした。ただ新潟方面はまだ良く晴れていたが群馬県方面は既に一面の雲となっており、肩の小屋のところで簡単に昼食を取り、「熊穴沢の頭の避難小屋」のところまで急いで下りそこでゆっくり昼食をとることにした。

 今回の登りは“遊歩”でなく“苦歩”であった。何歩か歩いて立ち止まり、また何歩か歩いて立ち止まりのとめどない繰り返し。足がひきつっているわけでもないのに足が動かない。こんな経験はこれまでになかったことだ。一体全体原因は何なんだろうか?「肩の広場」下の大きな岩近辺から頂上までの間で山スキ−ヤ−三名と中高年女性一名に道を譲ってしまった。三名がスノ−シュ−を履き一名はスキ−板を履いていたのに小生の足は身軽なアイゼンだった。バワ−不足が嫌というほど身に沁みた。小生より若干年長の同行者のI氏は健脚の速足でどんどん快調に飛ばして行くだけに情けなく、気持ちが落ち込んでしまった。これが歳というものなのだろうか。それとも鍛錬不足によるものなのか。これからの山歩きはいつもこのパワ−不足を意識しながらのものになるのだろうか。


【閑話休題】

……一歩百歩(?)のご同輩……
 「熊穴沢の頭の避難小屋」で昼食をしているときに下山してきたご夫婦と話ししているときのこと。おくさんが「あたしたちは天神山までの予定だったんですが足を伸ばしてトマの耳まで行って来ちゃいました。」我々はとりあえず「熊穴沢の頭の避難小屋」までだからご同輩?!

……すごい人……
 やはり下山して来た一人の人は左手を包帯でつっていた。この山行でケガをしたのか聞いてみると答えが「左手が重いからです。」という。大体のことか推察できたのでこれ以上質問はしなかった。路は雪でスリップし易くてバランスをくずしやすい。鎖場もある。片手を使えないというハンディを背負っての独歩行。
 世の中にはスゴイ人がいるものだ。

……トニ−ザイラ−二世達に八百万の神々のご加護を!……
 子供の頃トニ−ザイラ−主演の『白銀は招くよ』という題名の映画を見た。 ザイラ−がアコ−ディオンを弾きながらアルプスの山を滑降するシーンが瞼に焼きついている。テーマ曲のメロディを今でも口ずさめるのだから余ほど子供心に強い印象を与えたのであろう。憧れたに違いないと思う。
 これまで山スキ−ヤ−を間近に見たことがなかったのだが今回の山行では3パ−ティ5名の若者達の山スキ−を拝見した。トマの耳の頂上から肩の広場下の大斜面に雄大なシュプ−ルを描きながら滑走するその姿はうらやましいくらいにカッコイイ。わずかなエリ−トにのみ許された悦楽なのだろう。だが彼らがその至福のための大いなる代償をちゃんと払っていることを改めて再認識した。彼らもスノ−シュ−を履いたりスキ−板を履いたりして我々一般登山者と同じように汗水たらして苦労して頂上まで歩いて登っているのだ。こんな若者達の姿を見てむしょうに嬉しくなった。と同時に一方で雪山での山スキ−ヤ−の遭難死亡事故のニュ−スが多いのを思い出し、すべての山スキ−ヤ−が不運に見舞われないようにと内心祈らずにいられなかった。



 肩の広場を少し下ったところで突然“ド−ン”という轟音が耳に入った。
 どこかの谷筋で雪崩が起きたのだろう。全層雪崩のシ−ズンに突入しているのだ、と実感した。登って来る途中の山の斜面の何箇所かが地割れしたようにヒビが入っていたり、ザンゲ岩近辺では雪の断層が覗けて見えたりと不気味な感じを受けてはいた。
 雪崩回避という点ではむしろ厳冬期の天気の安定した日の方が良いのかもしれない、と今では思うが果たしてどうなんだろうか。 

【写真記録】



☆☆ 春を待つ谷川連峰 ☆☆ 



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【今回訪問以外の訪問写真記録】 


☆☆ 一ノ倉沢出合【2017.2.4】 ☆☆

☆☆ 一ノ倉沢出合【2014.2.1】 ☆☆

 ☆☆ 一ノ倉沢出合【2012.3.16】 ☆☆ 

☆☆ 一ノ倉沢出合【2008.2.29】 ☆☆

☆☆ 一ノ倉沢出合【2005.10.12】 ☆☆




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